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1864年大晦日
「すっかり酔いつぶれちゃっていましたねぇ」
「まぁそれは仕方ありませんよ。年越しですから...」
深雪は苦笑を漏らしながら総司に寄り添った。
年越しの蕎麦と月華と協力して作った御節を皆に振る舞い、片付けが済むと、無礼講と平隊士も隊長も一緒になり酒を飲み始めた。酒が苦手と言っていた総司だけは料理と蕎麦を食べ終わりさっさと広間を出て行った。彼を確認していた深雪は片付けを早急に済ませ月華に残りを任せると総司の部屋に来ていた
「黙って持って来ちゃったんですけど、一杯如何ですか?」
深雪は面白そうに徳利と杯を取り出した。総司はそれに困ったように笑ったが深雪の髪を優しく撫でて唇を落とした
「苦手って言った筈なんですけどねぇ。」
「嫌いではないだけいいじゃないですか。」
「...でも可愛い奥さんが注いでくれるならいいかもしれないですね。」
「..もぉ...そんな胡麻擂りしないでください。」
深雪が頬を膨らませると総司は眉を寄せ笑いを堪えた。兄妹から数歩前進した関係に発展してより愛おしくなって幸せに感じるのは気のせいではない
差し出された杯を持てば深雪はそっとそれに酒を注いだ。
総司がそれを飲めば深雪は微笑を零した
「いいお酒ですね」
「えぇ。一年お疲れ様でした」
遠くからは除夜の鐘が聞こえてくる。もう折り返しをとっくに過ぎた回数の音を聞いた気がする。一年振り返れば怒涛の日々だった気がする。それでもその中で新たな発見と出会いをした気がした
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