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総司は自分が飲んで少し余った酒が入った杯を深雪に差し出した。
「深雪さんも今日くらいは飲みませんか?」
「えっ?わ、私は...」
当然の事のように深雪はとんでもないと頭を振った。それに残念そうな顔をしたが仕方ないと苦笑を漏らした
「ですよねぇ...」
「当然です!」
即答されると何もいえない
「私は幸せ者ですよねぇ...土方さんに拾われて...皆さんに良くしていただいて...沖田さんに...総司さんに出会えて......人生の半分の幸せ使ったんじゃないかってくらいに...」
「深雪...」
「でも半分“だけ”でこんなに幸せになれるなら儲けもんですよねぇ。」
深雪はクスクスと笑った後に左手を月に翳し瞳を細めた。
「この痣にすら愛着が涌いている自分がいます。これも過去も含めて朝日奈深雪であり、沖田深雪なんだって。」
彼女が総司は素直に綺麗だと思えた。杯を床にそっと置くと彼女の腰を自分に引き寄せた。こんな事を出来るのが旦那の特権だと思える。昨年までなら有り得なかった
彼女の艶々した髪を梳くと優しい笑みを見せた
「そんな貴女が大好きです。深雪さんに出会えて幸せです。」
「総司...」
気付けば顎を引かれ唇が重なっていた
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