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「深雪さん....」
「....」
「隠れないでくださいよ」
土方が彼女を拾ってから数日が過ぎた。徐々に慣れてきたといえば慣れた。が、しかし彼女は日に何度かはこのように隅に布団を被り隠れてしまう。
.....自分を守る猫ように
「....大丈夫ですよ。」
「本当ですか?」
小さな声とともに綺麗な瞳がこちらを向いている。総司はそれを見逃さず優しく笑って手を差しのばした。それに深雪も手の先から少しずつのばしてゆく。
すっ....
「どうだ総司。深雪ちゃんは!」
ビクッ....
総司は頭を抱えた。
深雪は手を引っ込め隅に布団と共にくるまる。
この兄がもう少し静かに入ってくれたらと思う
「もぉ.....近藤さん!もう少し静かに入ってくださいよ。」
「すまんすまん。」
近藤は深雪が隠れている方に向き直ると人が良さそうな笑みを浮かべ手招きした
「大丈夫。出てきなさい。総司の側に居ればいい。」
深雪は再び瞳を覗かせると布団から抜け出し総司の背中にピタリとくっついた。
それに驚くものの、笑顔が広がる。深雪が総司の肩から顔を覗かせると近藤は笑みを漏らした
「総司と深雪君はそうしていると本当の兄妹みたいだな」
「!!」
二人の驚く表情は一緒だった。総司と深雪はそれにちらりと互いの目を合わせると嬉しそうな笑みを零した。
「じゃあ、深雪さんは今日から私の妹ですね」
「いもうと?」
「はい。」
近藤を見れば嬉しそうに頷いていた。認められたような気がして深雪に自然な笑顔が広がってゆく。
それに近藤と総司は何故か安心した。
「しっかり深雪君を守るんだぞ総司」
「もちろんですよ。ねっ深雪さん?」
「......はい。.....お兄様.....」
ここから二人の兄妹としての生活が始まったことはいうまでもない。
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