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我等は所詮忍。
民とはかけ離れた存在
生きる星が違うた
それが我が郷に生まれし者の掟
「――さん...」
「――さんどうしましたか?」
洗濯物を干す少女の背後から声が掛かかる。その手を休めてふわりと後ろを振り返った。
すると、名前を呼んだ張本人にも関わらず、年若い青年は眉を寄せて苦笑を零していた。
「いいえ...ただなんとなく呼んでみたかっただけです」
「そうですか...」
少女は可笑しそうに笑うと青年に近付きにこりと笑みを零した。青年は少女を引き寄せ自分の膝の上に座らせた。
「“お兄様”?」
不思議そうに首を傾げる少女の髪を青年がそっと梳くとさらさらと髪が流れ落ちてゆく
青年はそれに優しげに瞳を細めた
「...ただつくづく幸せだと思っただけです。ほんの数月前に私の前に現れた――さんただ一人で私の世界は変わりました。」
「それは...良い意味で?それとも悪い意味でですか?」
青年は瞳を細めると少女をぎゅっと抱き締めた。抱き締めると石鹸の香りと匂袋の甘い香りが入り混じる。
「...言わずもがな。あなたは可愛い妹ですから。」
少女はそれに満面の笑みを零すと愛おしそうに青年の頬を撫でた
「...星は違えど、ずっと一緒に道を歩きたいですね。―――と――さんと一緒に......」
「...深雪さん..」
星...
......ずっと一緒
歩む......
『みゆ...き』
何が結びついて再び解れた
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