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小首を傾げる燈奈に深雪は笑みを向け総司に似たさらさらとした髪を優しく撫でた。久しく長い時間遊んでいなかったのを申し訳なく思えてしまう
「もちろん。」
その言葉に燈奈が満面の笑顔を零した。洗濯場で深雪が洗濯を干し始めると総司は燈奈を膝に座らせその様子を見物し始めた。
楽しそうな笑顔を見せながら洗濯をする彼女の背中をこうして暇さえあれば見つめていたのはいつの頃だっただろう
実はこの姿が総司は好きだったりする。
「母上って綺麗ですよねぇ。」
ほんの数年前は可愛いだけだった
総司の口から自然と漏れた言葉に燈奈は父親を見上げた。
総司はその視線に気付くと燈奈を見つめ笑顔を零して髪と頬を撫でた
「燈奈はとっても可愛いですよ。大好きですよ...」
燈奈はそれに花が咲いたような笑顔になった
「ひーたんもとぉさましゅきー」
「ありがとう」
可愛さ余って総司は燈奈を抱きしめた。彼女に似た愛娘は尽きることなく愛おしい。抱き締めればふわりと幼子特有の甘い香りが漂った。
総司はふとあることを思いつき燈奈を膝から下ろした。
「深雪さんのお手伝いしますから燈奈はここに座っていてくださいね?」
「はいっ」
元気に手を挙げ返事をする燈奈に満面の笑みを零すと頭をくしゃくしゃと撫で、深雪の元へ向かった。
「...お手伝いしますよ」
「総司...ありがとうございます。大丈夫ですよ。直ぐに終わらせちゃいますし、男性に水仕事させちゃいけません」
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