175人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁに言っているんですか。早く終わらせたらそれだけ沢山ゆっくり出来るじゃないですか」
「急いで終わらせちゃいますから、燈奈と座っていてください。」
「私もお手伝いします。ねっ?」
深雪は困ったように眉を寄せ総司を見上げれば、彼は満面の笑みを浮かべている
「...ここが、一番隊隊長の部屋で..ってあれっ?燈奈ちゃん...」
鉄之助に部屋の案内をするために縁側を歩いていると縁側にちょこんと座り一点を見つめる幼児の姿。永倉は首を傾げると燈奈に近付いた
「父上と母上は?」
後ろから声が掛かると燈奈はビクリとして後ろを振り返った。見知った顔と確認すると瞬く間に笑顔に変わる
「ぱち!」
その愛らしい声にすぐさま抱き上げてしまうのは条件反射に近い。抱き上げたら抱き上げたで笑顔で小さな腕いっぱいに抱きしめてくれるのでそれまた可愛い。彼ら夫婦ならず近藤や土方までがべったりなのがよく理解出来る。
「...あっ!その子......」
聞き慣れぬ声に燈奈の肩が小さく竦み、着物を掴む手に力が入ったのが分かった。そういえば、あまり親しくない見知らない人物に対して人見知りするんだったと永倉は思い出し燈奈に大丈夫と小さく囁き苦笑を漏らしながら背中を撫でた
「この子は燈奈。もうすぐ二つになる子だよ。」
「まさか...永倉隊長の...ですか?」
それに永倉は困ったような表情をすると燈奈の頭を撫でた。
そう言ってもらえると嬉しいがやはりこの子の親は彼らだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!