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「あははっ...まさか。ほらっ、あそこに二人居るだろ?あれが燈奈の両親。」
「へぇ...深雪さんと沖田隊長の子なんですねぇ......って!!娘!?」
永倉は彼の表情に必死に笑いを噛み殺していた。
鉄之助は驚いたまま洗濯物干しの前で何かを談義している二人を見つめていた。
街ではかなり沖田総司は女性に人気だ。巡回を待ち伏せる者まで居ると聞いている。
そんな男(ヒト)が所帯を、しかも一児の子を持っているとは考えられなかった。
さらに、その相手が屯所(ここ)で随一の人気を誇る朝日奈深雪だと知れば尚更。鉄之助自身微かに恋心を抱いたのも事実。
冷静に考えれば新参者以外の隊士や隊長は色めき立つことも無く、普通に会話していた気がする。
あれこれ鉄之助が頭の中で思案している最中、永倉は燈奈に一番聞きたかったことを質問していた
「父上と母上は何してんの?」
「おてちゅだい!ひーたんおるすばん!」
「そうか。」
どう見てもそこからにこやかに見える論争が始まったらしい。あの中に割って入れる強者を見てみたい。水仕事を手伝われるのが嫌いなのを知っていて総司はワザと手伝おうとする。いつも止めればいいのにと思うが敢えて口出しはしない。
あれが始まったら暫くは止まらない。
「なかよち」
「そうだねぇ。」
否定はしない
「父上と母上もう少しあのままだけど...俺とか佐之とかと遊ばない?」
その問いに燈奈は暫く考えるような仕草を見せたが、こくんと頷いた
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