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その日、雨が降っているのにもかかわらず、傘をささずに歩いている男がいた。
暗い茶色の髪をした少し背が低めの男。
名前は天音海斗(アマネカイト)高校二年生、一人暮しであった。
両親は会社にとって重要なプロジェクトのために一年前からオーストラリアに出張中。
海斗は学校帰り、傘をさしていないのはただ傘を忘れただけである。
別に親友と死に別れたとか、恋人が死に致る病にかかったとかドラマティックな展開は無いのであしからず。
走るのが億劫だったので歩いていた海斗だったが、そろそろ身体が冷えてきて「風邪ひくな」とか思っていたところだった。
それでも走る気にはならず歩くのだが。
10分後、ようやく家まで100Mをきったところで海斗は見つけた。
何をか、捨て猫である。
段ボールの中、毛布に包まれた子猫だった。
「可愛い」
動物は嫌いじゃない海斗はおもわず足を止める。
しゃがみ込んで見ていると子猫は段ボールからはい出てきて海斗に擦り寄ってきた。
喉を撫でると気持ち良さそうに目を細める子猫。
海斗はその時天啓を聞いた、電波とも言うが。
お持ち帰りするべきだ、と。
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