―冬の夜―

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  有りったけの勇気と 有りったけの気力を振り絞り目を開き旦那を見詰める。   いつも無抵抗だった私が顔を上げた事に驚いたのか…一瞬 旦那の動きが止まった。   ほんの僅かな時間で自分の携帯と お財布の位置を確認する。   次の瞬間…火事場の馬鹿力なのか近くに置いてあった小さなカラーボックスを持ち上げ 旦那に向かって振り下ろした。   『あ"ぁぁぁ--っ!!!』   他人が見たら その時の私は人間ではなかったと思う。 悲鳴を上げながらカラーボックスを振り下ろす私。   突然の事に身をかわせなかった旦那の肩に激突した。 痛みと驚きからか 呆気なく膝を付いた旦那の後ろから もう一発。   『…もう!!たくさんっ!!今まで我慢してきたけどっ……もうっ…もう限界っっ!!』  
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