―冬の夜―

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  田舎の住宅街のせいか駐車場にも殆ど車は無く出来るだけ目立たない場所に座り込んだ。 携帯を開き時間を確認しようとすると…。   ――着信 28件   ボンヤリと光るディスプレイに浮かび上がる無機質な文字。 誰かなんて履歴を見なくても分かる。 また怖くなった。 顔色が変わった事に気が付いたのか隼人が心配そうに聞いてきた。   『ママ…??だいじょぶ??…』   そっと差し出された小さな手は私の冷たい頬に ぴたっとくっついた。 その手を掴み自分の口許にそっと寄せた。 冬の冷気で冷たくなった手の甲。 反対に少し汗ばんで温かくなった手のひら。 子供の匂いがした。 少し汗くさくて 少し甘い匂い。  
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