結論

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待ち合わせで奈緒子を待つことは珍しい。大抵、遅刻して来る俺を彼女が待ってくれていた。 約束の時間は午後2時。腕時計にやり場の無い視線をやったが、まだ約束の時間まで20分以上あった。 窓の外へと視線を移す。自分の暗く沈んだ心の中とは裏腹に、肉らしいくらい晴れている。 (これは本当に現実なんだろうか?) 小さく溜め息を着いて、冷めかけたコーヒーを一口飲んだ。 「苦い…」 思わず声に出てしまい、その声に自分で驚く。コーヒーが飲めない訳じゃない。むしろ、大好きだ。ただ、今日はこの苦さが、胸にしみる。 もう一度腕時計に視線を落とした。このまま一人でいると、泣き出してしまいそうだった。気を紛らわす為、トイレに立とうとした瞬間、入口の鈴がカランと為った。
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