★1話★

13/13
前へ
/770ページ
次へ
大学終わり、やっぱり気になるから、もう1度CDショップへと向かった。 店内に入り、下を見ながら、あるいは、棚と地面の隙間や棚と棚の隙間を覗きながら、首を左右に振った。 でも、いーっくら探しても見当たらない。 もう1度店員さんに聞いても、届け出は無い、との事。 涼香「はぁ~……尚志くんの写真がぁ……」 もう探す気なんて、とうに無くなってた時 「探し物ってこれの事か?」 後ろから声が聞こえて、ゆっくり振り返ると、昨日私が欲しかったアルバムを買っていった高校生が立ってた。 彼の手には、見覚えのあるカード入れ。 涼香「あぁ!!それ私のっ!!探してたのーっ!!」 彼の手に持ってるカード入れに飛び付こうと、手を伸ばせば、彼もまた更に上に手を伸ばす。 私が左へ手を伸ばせば、彼の手は逆へ。 私が右へ手を伸ばせば、彼の手はまた逆へ。 涼香「あの」 「なに」 涼香「それ、私の物です。返してください」 「だから?」 涼香「だから…?いやいや、だからじゃなくて」 「これ、…そんなに必要な物?」 涼香「当たり前でしょ!?だから早く返してっ」 手を伸ばせど、彼、高校生のくせに身長高いんだよっ! 届かないんですけどっ! 「あんた、ちっさいな」 涼香「ん゙な゙!?」 こいつ、鼻で笑いながら…人が気にしてる事を……!! 涼香「いい加減にしてよっ、返してって言ってんでしょ!?」 「そ~んなに大事なのかぁ~…、中に入ってた写真が?」 涼香「っ!?中身見たのっ!?」 「うん、見た」 よりによって、こんな生意気なガキに見られるなんてーっ!! 「こいつが好きなんだ?」 涼香「……、す…好きで悪いっ!?」 いやだぁ~…なんか恥ずかしいよっ!! 「ふ~ん…」 そう言うと、私の頭のてっぺんに器用にカード入れを乗せて返してくれた。 「カード入れ、拾ってやったんだから何か礼とか無いわけ?」 涼香「は?」 私は頭にカード入れを乗せたまま返答した。 「フツーさぁ、何かあるもんじゃなーい?」 イジワルな笑みを浮かべ、ニタァと笑う。 ……一体、何を考えてんだ、この高校生は。 涼香「…な、にをお望みで…?」 って、私も何聞いてんだよ!? 「…じゃ、俺と付き合ってくんない?」 ……はぁー!?!?
/770ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4404人が本棚に入れています
本棚に追加