★1話★

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あれから約1年半。 私は両親の残してくれた財産のおかげで、まだ生活できている。 でも、やっぱり…大学ってお金がかかるもので…。 バイトをできるだけ詰めて入れて、深夜までファミレスで愛想振り撒いて、疲れた~とベッドへ倒れれば、いつの間にか朝はやってくる。 あ、学校…行かなきゃ……。 授業中寝るのなんて日常茶飯事。 今日も寝てしまった。 「ちょっと…涼香っ、起きなっ」 涼香「ん~…むにゃ……、クゥ……」 「まぁた寝てんのかよ?」 スパーンっと弾けるような音が頭に響いた時、ようやく現実へと戻される。 涼香「いーったいな!!誰よ!!」 「あんたが起きないから悪いんでしょ~、もう終わったよ?」 呆れた顔でそんな事を言うのは、大学で友達になった新藤 遥(しんどうはるか) 「相変わらずよく寝るねー、ほんっとに」 多分私の頭を叩いたであろうコイツは片桐 一成(かたぎりかずなり) みんな、一成のことを「いっせい」って呼ぶ。 まぁ、あだ名なんだけど、本名がいっせいだと勘違いするのも居るとか。 涼香「いっせー、あんたちょっとは優しく起こせないもんなのっ!?」 一成「だぁれがお前みたいな野蛮な奴を優しく起こすかよっ!」 野蛮、ってなんだよ、野蛮って。 遥「はいはーい、もうっいい加減にしなよ~」 いつも決まって一成との間に入るのは、遥の役目。 遥「それよりっ、お腹空いたぁ!!はい、2人ともっ、学食行くよーっ」 一成「行くかぁ!! 多分、あいつらはもう居ると思うしなっ」 一成のいう【あいつら】ってのは、学部は違うけど一成の友達。 実は、その中に好きな人が居るんです、私。
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