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涼香「はぁ、やっと終わったぁ~っ」
鞄にノートやテキストなど入れて、ロッカーの扉を閉め鍵をかける。
涼香「…4時過ぎ、…か」
バイトは今日7時からだし、…ちょっと寄り道しよかなっ。
私はバイト先の目と鼻の先にあるCDショップにフラフラッと立ち寄った。
店内には最新曲が途切れる事なく流れている。
涼香「ん~……、…あっ」
1枚のCDに目が止まる。
最新アルバムだっ。
今回予約するの忘れてたーっ。
思わず手を伸ばしそのCDを取ろうとした瞬間
「おっ、ラス1じゃん!ラッキーっ!」
私よりも先にそのCDを手に取った彼。
涼香「あ、…最後の…」
思わずポロッと口に出してしまった。
私の言葉が聞こえたのか、CDを見ていた視線は私に向けられる。
ジーッと私を見る彼。
ジーッとCDを見る私。
「これ、…欲しいの?」
涼香「え?」
ようやくCDを持っている主の顔が映る。
涼香「……あ、いや…別に…」
「…ふぅん、あそっ」
あ~…最後の1枚なのに。
欲しいなぁ…欲しいなぁ……。
「…あんた…近いよ」
涼香「…ハッ、ごごごめんなさいっ」
無意識の内に、CDに顔を近づけていたみたいだ。
ってか、よく見ればこの彼。
明るい茶髪に、ピアス。
首にはジャラジャラとネックレス。
指や手首にはシルバーのアクセサリー。
制服はかなり着崩れ?してるし、ズボンはこれでもかってなぐらいズレてる。
「さっきからジロジロ見すぎなんすけど?何かあんの?」
睨まれると動けなくなる程の目力……。
涼香「い、いえ…なんでもないです……」
腰が抜けるような思いで、走り去るように私はその場から逃げた。
私、ああいうのは苦手だな…。
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