★1話★

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涼香「はぁ、やっと終わったぁ~っ」 鞄にノートやテキストなど入れて、ロッカーの扉を閉め鍵をかける。 涼香「…4時過ぎ、…か」 バイトは今日7時からだし、…ちょっと寄り道しよかなっ。 私はバイト先の目と鼻の先にあるCDショップにフラフラッと立ち寄った。 店内には最新曲が途切れる事なく流れている。 涼香「ん~……、…あっ」 1枚のCDに目が止まる。 最新アルバムだっ。 今回予約するの忘れてたーっ。 思わず手を伸ばしそのCDを取ろうとした瞬間 「おっ、ラス1じゃん!ラッキーっ!」 私よりも先にそのCDを手に取った彼。 涼香「あ、…最後の…」 思わずポロッと口に出してしまった。 私の言葉が聞こえたのか、CDを見ていた視線は私に向けられる。 ジーッと私を見る彼。 ジーッとCDを見る私。 「これ、…欲しいの?」 涼香「え?」 ようやくCDを持っている主の顔が映る。 涼香「……あ、いや…別に…」 「…ふぅん、あそっ」 あ~…最後の1枚なのに。 欲しいなぁ…欲しいなぁ……。 「…あんた…近いよ」 涼香「…ハッ、ごごごめんなさいっ」 無意識の内に、CDに顔を近づけていたみたいだ。 ってか、よく見ればこの彼。 明るい茶髪に、ピアス。 首にはジャラジャラとネックレス。 指や手首にはシルバーのアクセサリー。 制服はかなり着崩れ?してるし、ズボンはこれでもかってなぐらいズレてる。 「さっきからジロジロ見すぎなんすけど?何かあんの?」 睨まれると動けなくなる程の目力……。 涼香「い、いえ…なんでもないです……」 腰が抜けるような思いで、走り去るように私はその場から逃げた。 私、ああいうのは苦手だな…。
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