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孝介と伸吾、そして美鈴は、幼稚園からの幼なじみ。
人気者の伸吾に活発な美鈴。
その後をいつも孝介がついて歩いていた。
3人で同じ高校を受験し、見事合格した。
成績のよろしくない孝介は、この時程努力した事はないだろう。
そんな努力の裏には、一つの理由があった。
美鈴と同じ学校に行きたい。
美鈴は、成績はまあ人並み。
しかし、昔からスポーツが得意だった。
高校に入ってからは陸上部に入部。
引退するまでは、部長を勤めていた。
明るく活発な性格。
何より、近所でも学校でも評判の美少女なのだ。
伸吾と並ぶと、まさに美男美女。
そんな二人に孝介は、子供の頃から劣等感を持っていた。
その反面、自分と正反対な美鈴に、密かな想いをよせていた。
「あんたのせいで、あたしまで向田の長話聞かされたんだから。
ちょっとは反省しなさいよ!!」
と、美鈴は丸めた教科書でまた孝介の頭を叩く。
「やめろよ。せっかく覚えた英単語忘れるだろっ」
頭を抑え、必死に抵抗する。
そんな二人を、笑顔で見つめる伸吾。
いつもと何ら変わらない風景。
仲の良い3人の、いつもの日常。
こんな日がいつまでも続くと思っていた。
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