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少し重い扉を押すと、ギギギッと鈍い音がした。
店内は薄暗く、神秘的な雰囲気。
電気や照明器具等は見当たらない。
ただ蝋燭の灯りだけがゆらゆらとゆれている。
香を焚いているのか、独特な香りが鼻をかすめる。
目の前には、見たこともない品物が所狭しと並んでいる。
アンティークショップの様な雰囲気。
奥にカウンターがあり、人の気配がある。
目を凝らすと、ぼんやりと人影が浮かび上がる。
「いらっしゃいませ」
そう言うと、人影はゆっくりと近づいてくる。
蝋燭の灯りに照らされたのは、一人の少年だった。
年の頃は12~3才位。
小柄で華奢な体。
少女と見間違う程の整った顔立ち。
さらさらの髪に大きな瞳。
かなりの美少年。
店番だろうか?
しかし少年は、予想外の言葉を口にする。
「ようこそ『不思議屋良品店』へ。
僕はこの店の店長を務めております」
少年はそう言うと、にっこりと微笑んだ。
この少年が店長?
表情で察したのか、少年は笑顔のままこう告げた。
「信じられないでしょうが、事実ですよ。
ここは現実とは少し違った場所ですから。
何が起こっても不思議じゃない
そういう場所なんです」
そう言って彼は、奥へと歩き出した。
「この店にある不思議な商品。
そして、それを手に入れた人達。
どうなったか知りたくありませんか?」
振り返り、笑顔のままこちらを見つめる。
澄んだ瞳。
真っ直ぐな視線。
そして、抑えられない興味。
不思議な商品を手に入れて、人はどうするのか?
一体、どんな結末にたどり着くのか?
気づけば、少年の後を着いて歩いていた。
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