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「危ない!」
「うわっ!」
「おっと!」
あまりの事に、青年はつい手が出てしまった。
今まさに、先程見付けたばかりの罠に飛込もうとしている子供を、寸前で捕まえて止める。
燃えるような赤毛がくるくると巻かれた、どう見ても十二、三歳位の子供だ。
その体に不似合いな大斧なんかを背負っている。
「エン! 大丈夫? あ、ありがとうございました」
飛び込んできた少年を心配しながらも、青年に礼儀正しくお礼を言う犬科の獣人。彼もやはり子供だ。
青年は顔いっぱいに、渋面をつくる。あまりにも場違いな二人に、不機嫌も露だ。
「こんな初歩的な罠に、突っ込むなんてな。ここは子供の遊び場じゃないんだぜ」
青年の厳しい物言いに、エンと呼ばれた少年はムッとする。
「遊びでなんか来るもんか! オレ達はちゃんとした参加者だ! バカにするな!」
「エン、落ち着きなよ。助けてもらったんだよ。ちゃんとお礼言わなきゃ」
「そんなの頼んで無い!」
ぷぃっとそっぽを向いてむくれる所など、どう見ても子供でしかない。
「もう! 本当にすみません。ありがとうございました」
獣人の子供は改めて青年に深々とお礼を言った。
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