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「でも、僕達遊び半分で来てる訳じゃ無いんです。参加に年齢制限なんてありません」
向き合った眼差しは真摯で、強い意思を宿していた。
思わず青年がたじろいでしまう程に。
「ロシェ。そんな奴ほっといて先行くぞ」
「うん。それじゃ」
「ちょっと待て」
一礼して立ち去ろうとしている二人を、青年は呼び止めた。
なぜかと言えば、やはり気になるからであろう。
ダンジョン・トライアルは生易しいものじゃない。まだ、入口からそう遠くない場所にさえ、単純なものとは言え罠は仕掛けてあった。
そんな単純な罠でさえ、回避出来ないのをまのあたりにしたら、このままほっとくのは寝覚めが悪すぎる。
かと言え、簡単に諦めそうにない。
青年がどうしたものかと思案に暮れていると、遠慮がちに声を掛けてくる者がいた。
「あの、皆さんのパーティーに入れて下さいませんか?」
長い黒髪を結い上げた、二十歳そこそこの女性は、青年と子供二人を連れとして話掛けてきた。
「オレ等パーティー組んで無いぜ」
ぶっきらぼうに言うのはエン。
「えっ」
ビックリ戸惑うのがロシェ。
そして青年はと言えば。
「それもいいな」
ニィと笑いながら頷いていた。
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