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大理石が敷き詰められた床、壁には有名な絵師が描いたと思われる高価な絵画が幾つも飾られてある、十坪以上はゆうにあるとても広いどこかの王族の部屋。
明かりはなく、そこは窓から見える無数の星と、満月だけが照らしていた。
「……うぅ…」
広い一室の隅に置いてある白いレースのカーテンに囲まれたキングサイズのベット。
そのベットから、一人の見た目十代前半位の黒髪の幼い少年が、先ほどまで寝てたのか目を片手でこすりながらレースのカーテンをもう片方の手で捲り、ベットから下りてきた。
少年は少しの間寝ぼけた声を上げ、目を擦ると、その手を下ろし月明かりだけが照らす薄暗い部屋を、キョロキョロと誰かを探すように見渡すと
~~~♪~~♪
どこからか、少女の歌声がその部屋に響き渡る。
その歌は、少女のあどけなさが残るものの、とても澄んだ、優しく何かを包んでくれるような音色。
「……あ。」
少年はその歌声がする方に首を向ける。
窓の外。白いレースのカーテン越し、バルコニーに立っている人影が見える。どうやらその人影がお目当ての人物らしく、少年はその方に寝起きの為か覚束ない足取りで歩を進める。
カラカラ…
「あ、ごめん起こしちゃった?」
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