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「そんな事より、軽く部屋の掃除をしましょう。せめて床は綺麗にしときたいです」
そう言って、床に散らばっている参考書などを勝手に片付け始めた。
「あのなぁ~…」
「ほら、突っ立ってないで片付け手伝ってください」
「俺…まだ、お前の事を信用してないんだけど」
指輪から出てきたのは驚きだが、冷静に考えたら何かトリックを使ったのでは?
もしかして、単に家出した女の子で帰るのが嫌で嘘をついてるのでは?
冷静になって考えてみれば今の時代、精霊などファンタジーな物を信じれるはずがない。
「なるほど…確かに急に信じろってのが無理ありますね」
案外、冷静だな…
やはり嘘なのか?
「まぁ…何て言うか……」
悲しげな瞳で片付けをしている姿を見て、俺の良心が傷んだ。
今日一日だけでも泊めてやろうかと思えてきたのだ。
俺がそれを伝えようとした瞬間、満面な笑みを浮かべながら言葉を発した。
「大丈夫です、信用される様に頑張って願いを叶えますから!」
そっちの信用!?
俺が言いたいのは、お前が精霊とは信じられないっていう意味なんだよ!
願いを叶えられるか心配の意味じゃねぇっての!
話が噛み合わない事に気づいた俺の頭は真っ白になっていた…
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