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「ここか…」
学校から俺の家に向かう中間ぐらいに、その店はあった。
最近できた割には、かなり古ぼけた外観だ。
まぁ、骨董品屋だからそんなもんだろう…
「とりあえず、中に入ってみるか…」
俺は少しワクワクしながら店の扉を開けた。
「やぁ、いらっしゃい」
中に入ると、店の店主っぽい白髪の爺さんが挨拶してきた。
さすがに骨董品屋というだけあって、壺やら皿などがたくさんある。
雫石がいれば興奮する事、間違いなしだ。
「お兄さん、骨董品に興味があるのかい?」
爺さんがニコニコしながら訊いてきた。
どうやら、壺など見てたから興味あると勘違いさせてしまったようだ。
「えぇ、まぁ…」
全く興味ありません!
と言うのは失礼なので、曖昧な返事をしておいた。
「そうかい、そうかい」
納得するなよ、爺さん…
しばらく店の中を徘徊していると、爺さんが店の奥へと移動。
数分ぐらい経って戻って来た時には、手に小さな箱を抱えていた。
「お兄さん、ちょっと来てごらん」
「えっ…俺?」
まぁ、店の中には俺しかいないわけだが…
爺さんが軽く頷いたのを確認して、俺は爺さんの方に歩み寄った。
「これを君にあげよう」
そう言って小さな箱を開く。
「……指輪?」
中に入っていたのは、銀色の光を放つ小さな指輪だった。
そしてこれが、俺の運命を大きく変えるとは今の俺には知る由もなかった。
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