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『ちょっと待って。友達に車借りれるか聞いてみるから。』
俺は同じ田舎から上京した、親友の龍に電話掛け車を借りる事にした。
龍の家に二人で向かう途中、フッと腕に付けている時計を見ると、10時になろうとしていた。
『そう言えば…時間大丈夫?』
今から海に行って帰って来れば、0時は過ぎるだろう。
そんな俺の心配をよそに、リィはクスクスと笑った。
『今さらっ?』
確かに…今更だ。ここまで強引に誘っといて、今更そんな質問は…無しだろう。
『それもそうだなっ!!あははっ』
龍のアパートに着くと、俺は照れながら龍に彼女を紹介した。
それでも、リィの本名を知らない俺は
『リィって言うんだ。』
なんて、間抜けな紹介しか出来なかった。
『まず、気い付けてな。』
『おぅ悪いなっ!!』
龍からキーを受け取り、赤のランクルを借りて2人で海へ向けて走り出した。
オーディオからは、龍の彼女の趣味なのか、今人気の女歌手の歌が流れてくる。
『あぁ~。私、この歌好きぃ♪』
リィは笑顔で喜ぶと、シートに深く身を沈め、深い闇が広がる空に視線を移した。
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