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俺は、リィの冷たい手を握り締めながら、寄せては返す波の音に聴き入っていた。
『なんか…夜の海って…ちょっと不気味だね…。』
苦笑いを浮かべながら、俺の手を握るリィがとても愛おしく思える。
そんな手を握り返しながら、俺は優しく呟く。
『あぁ…そうだな。』
『隼人ってさぁ…。なんか…あったかいよね?』
『あったかい?どこが?』
『どこってゆうか…なんか…隼人はあったかいよ…。』
『そうかなぁ?』
褒められてる訳じゃないんだろうけど、俺はなんかすげぇ嬉しくなって…
街灯も何もない…
月明かりだけの浜辺で、リィにキスをした。
衝動的だったけど、俺はずっとこうしたいと思っていた。
だけど…
唇を離すと、リィは俯むいてしまった。
突然とは言え…
イヤだったのかと思い後悔に襲われた。
『…ごめ…ん』
リィは俯いたまま何度も首を横に振り、小さく震えだす。
少ししてそれは、彼女が泣いているんだと気がついた。
『…ごめ…ん。いきなり…。イヤだった…?ごめ…ん。』
キスして泣かれるなんて思ってなかった俺は、ショックよりも何よりも、リィを傷付けてしまった事への罪悪感で、胸が痛んだ。
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