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俺の前で無理に笑わなくていい。
泣きたかったら泣けばいい。
そうしたら俺がまた、笑わせてあげるから…
『…リィ?俺、リィの事好きだよ…。
俺、リィの事何にも知らないけど…
でも、リィの事がすげぇ好きなんだ。』
リィは俺の胸に顔をうずめながら、また何度も首を横に振る。
『…私ね…。彼氏…いるんだ…。』
思いがけないリィの言葉。
まさか、居るなんて思ってなかった。
夜、俺に会いに来てくれる事に対して自惚れていたわけじゃないけど…
彼氏が居たら…
そんな事はしないだろうと勝手に決めつけていた。
『…一緒に…住んでるの…でも…別れたいの…ヴッヴッ…ヴッ…』
また、泣き出しだリィは嗚咽を漏らしながら、俺の体に必死にしがみつく。
『じゃ…別れ…』
『でも…別れられないのぉ……ヴッヴッ…』
俺の声を遮った彼女の声は、悲鳴にも似た声で、静かな浜辺にやけに響いた。
それは初めて聞くリィの話し。だけど、この泣き方は尋常じゃない。
『リィ?』
リィは何度か深呼吸をすると、顔を上げた。
月明かりで照らされたリィの頬にはたくさんの涙が流れ、顔はすごく悲しげで…見てられない。
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