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「それは…俺の気持ちも受け入れられないってことか?」
「そんなこと…ないです。課長の気持ちはすごく嬉しいです…私みたいなのを好きになってくれて」
「だったら…」
「私まだ主人とのこと何も考えていないんです…自分でもどうしたいのか分からないし」
司の手が荷物を持つ冴子の手に触れ、荷物を取り上げた。
「あ…」
「まだ何も考えられないのなら、これから俺と一緒に考えればいい」
床に荷物を落とすと司は冴子の顔を仰がせ、せつなげな顔で冴子を見つめた。
そんな司の表情に冴子の心は締め付けられたように痛んだ。
おもむろに冴子は司の頬に触れた。
そして…
何より司が愛しいと初めて感じた。
「そんな顔しないで…」
「三橋…」
冴子は自分の腕を司の背中に回し、胸元に顔をうずめた。
司も冴子を愛おしく思い髪を優しく撫でる。
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