甘い夢

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朝食を済ませると後片付けをしてソファーでくつろいでいる司にコーヒーを差し出した。 「ありがとう」 「あの…課長…」 「何?」 「ずっと気になったんですけど…何で独身なんですか?」 思わぬ冴子の質問に司はコーヒーを吹き出した。 「げほっげほっ…」 「だ…大丈夫ですか?」 「お前が変なこと聞くからだろ…」 「だって…課長みたいな素敵な人が独身なんて信じられないんですもの。彼女もいないんですか?」 「…お前バカか?」 「はぁ?」 「彼女がいるなら、わざわざ亭主持ちを好きになったりしないだろうが」 「…すいません…亭主持ちで…」 「いや…そいゆうつもりじゃなくて…」 ふてくされてる冴子を司は優しく抱きしめた。 「俺…本当に急かすつもりはないんだからな」 「はい…」 「ワガママ言うなら旦那の所なんかに戻って欲しくないけどな」 「課長…」 司の温もりに安らぎを感じた。 このまま… 一緒に居られたらいいのに… 「出かけるか?」 「でも…一緒に居る所誰かに見られたりしたら…」 「そうだな…人目につかない場所にドライブしよう」 「じゃ支度してきます」 冴子は寝室に入ると綺麗に髪を整え、化粧をし、服を着替えた。 「お待たせしました…変ですか?」 「綺麗だよ…」 「じゃ俺も着替えて来るわ」 司も寝室に入り服を着替え、髪をセットして出て来た。 「課長…別人みたい…」 「あはは…さぁ行こうか」 部屋を出て駐車場へと向かう途中、携帯が鳴った。 バッグから取り出し着信を見た。 着信‘信夫’ 「また…」 「電話…出たらどうだ?逃げてても解決しないだろ!俺なら気にしなくていいから」 「そうですよね…逃げちゃダメですよね…」 冴子は電話に出た。 「もしもし」 『冴子…やっと出てくれたんだね…帰って来てくれないか?話したいんだ』 「もう少し…時間くれない?今はまだ話したくないし顔も見たくないから」 それだけ言うと電話を切った。
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