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「何でだろうな…気付いた時には好きになってた…上手く言えないけど」
司は照れ隠ししながらあっという間にオムカレーを完食していた。
冴子も食べ終わると車に乗り込み海岸沿いを目指し走り出した。
「もうすぐ着くからな」
「はい。風が気持ち良いですね」
「そうだな」
「嫌なこと…思い出させてしまってごめんなさい…」
海岸を歩きながら冴子は呟くように言った。
古傷をえぐられて平気な人などいない。
「気にするなよ。もう10年前のことだよ。それに、今はお前が居てくれる…冴子…」
司は冴子の体を引き寄せ抱きしめた。
「課長…言いましたよね?私が離婚することを急かさないって…」
「うん。それがどうした?」
「私が…課長じゃなくて…主人を選んだら?」
冴子は体を離すと、また歩き出した。
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