―現実問題―

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「じゃ私は先に出ますね。一緒に出ると良くないですから」 支度を終えた冴子は食べ終わった食器を片付けると司にコーヒーを差し出しながら言った。 「俺もこれ飲んだら出るから。気をつけて」 「はい。じゃ」 初めて司に抱かれたあの日以降、司が冴子を求めてくることはなかった。 体だけの繋がりが全てだけじゃないことをお互いに良くわかっていたからだ。 ずっと有給を取っていた冴子だったが仕事に出ることにしたのだった。 優と話をしなければいけない… 逃げてばかりでは何も解決しない… 「おはようございます」 冴子は自分のディスクに座ると、久しぶりのキーボードの感触を懐かしむように仕事を始めた。 「…冴子…」 真っ先に冴子に来たのは他ならぬ優だった。 「お昼休みに話しよ…今は仕事中だから…」
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