―現実問題―

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「司さん…」 部屋に帰ると冴子はうなだれた様にソファーに座った。 養育費を請求してくると言うことは… 司の妻…? それしか考えられない… しかし、司は死別したと言っていた。 「ただいま…」 「…お帰りなさい。ビーフシチュー温めるから待ってて」 「冴子に…聞いて欲しいことあるんだ。座って」 司は隣に座る様冴子に促した。 冴子は黙って隣に座った。 何を言われるんだろう… 「さっき来た奴なんだけど…」 「司さんの奥さんなの?養育費まで請求しに来て…」 「何でそのこと…」 「司さんの様子おかしかったから後追って話聞いちゃったの…」 「そっか…でも残念ながら俺のかみさんじゃない。ちゃんと話しただろ?俺のかみさんと子供は10年前に死んだって」 「それじゃ…あの人は司さんの何?」 「俺の弟の嫁さんなんだよ…」 「弟さんの奥さんが何で司さんに養育費請求してくるの?」 「弟の奴…2年前に蒸発しちまったんだよ。あいつ…奈々枝って言うんだけど、奈々枝と子供2人だけじゃ生活出来ないだろうからと思って俺が養育費払うことにしたんだ」 「そこまで司さんがする必要ないじゃない!」 「弟の仕出かしたことだから…俺も見て見ぬ振り出来なかったんだよ。そしたら当てにするようになっちまって」 冴子は込み上げてくる怒りを押させられなかった。
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