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『シンデレラ。どうしたんだ?いきなり駆け出したりして…
もうすぐ舞踏会も終わるよ。
一緒に戻ろう。』
階段を下りようとした私の手をきつく握り、王子様は優しく言った。
ゴーン
「どうか許して下さい。
もう行かなくてはいけないのです。
さようなら…」
たったそれだけしか言葉は出てこなかった。
出来る事なら、この心優しい王子様を傷つけたくなかった。
でもどうしたら傷つけないで済むのかなんて分からなかった。
すべてを悟ったかの様に王子様は手をそっと離した。
涙が零れ落ちそうになるのを堪えて、また私は階段を下りはじめた。
途中階段に躓き、履いていたガラスの靴を片方落としてしまった。
一瞬迷ったが、どこからか
【止まってはいけない。振り向いてはいけない。】
と聞こえた気がして、私はまた階段を駆け下りる。
ゴーン
アンソニーの胸に力いっぱい飛び込み私達は暗闇の中へ駆けだした…。
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