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柔らかな海に揺られて、誰よりも一途で純粋な人魚姫は泡になろうとしていた。
……私には王子様の命を奪う事はできない。
少しの間だけだったけど、王子様と人間として過ごせて幸せだった。
本当に幸せだった。ありがとう。
身体のあちらこちらから泡の粒が浮かび上がる 。
不思議と怖さはなく、水に溶け込む様な気持ちよさがあった。
泡の粒が目の前にいっぱいになり、人魚姫は そっと 瞳を閉じた。
王子様さよなら。
姉さん達さよなら。
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