389人が本棚に入れています
本棚に追加
―――その日の夕方。
太陽も傾き、オレンジ色に染まった古い校舎の一角にある、多少豪華な作りをしてある場所に、少年とその両親は居た。
「この度来ていただいたのは他でもありません。その子の魔力量、並びに魔色についてです。」
初老を迎えたのか、白と黒の混じった髪で両親を見つめる学校の長。
そんな校長の言葉に両親からは緊張の表情を与えられた。
「先ず、魔力量ですが。これは、素晴らしい!いや、素晴らしいでは言い表せる事の出来ないものです。」
そんな校長の声に両親は安堵の溜め息を漏らす。
「――しかし、彼の魔色紙は、全く変わる事はありませんでした。」
途端に暗い顔へと変わる両親。母の目からは、一筋の水滴がながれ、父は唇を噛み締めた。
「魔歴上、私は聞いた事がありません。魔色がまさか『無い』なんて・・・」
最初のコメントを投稿しよう!