序章

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―――その日の夕方。 太陽も傾き、オレンジ色に染まった古い校舎の一角にある、多少豪華な作りをしてある場所に、少年とその両親は居た。 「この度来ていただいたのは他でもありません。その子の魔力量、並びに魔色についてです。」 初老を迎えたのか、白と黒の混じった髪で両親を見つめる学校の長。 そんな校長の言葉に両親からは緊張の表情を与えられた。 「先ず、魔力量ですが。これは、素晴らしい!いや、素晴らしいでは言い表せる事の出来ないものです。」 そんな校長の声に両親は安堵の溜め息を漏らす。 「――しかし、彼の魔色紙は、全く変わる事はありませんでした。」 途端に暗い顔へと変わる両親。母の目からは、一筋の水滴がながれ、父は唇を噛み締めた。 「魔歴上、私は聞いた事がありません。魔色がまさか『無い』なんて・・・」
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