序章

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この日から始まった少年の魔法生活は波乱の出だしであった。 それからとは言うもの、自己紹介で「魔色は無い」と言った少年は虐げられ、浴びせられるは罵声。 幼い子供というのは、単純で、それでいて凶悪だから質が悪い。 魔色が無いという事は魔法が使えない。つまり、奴は自分より確実に劣っている。 そう解釈してしまった者は少年を『おちこぼれ』や『木偶の坊』はたまた『無能人間』などずさんだが、酷いあだ名で少年を呼び続けた。 ただ魔色に色が無いというだけで、である。 心優しい者は彼に近付いて味方をするが、その人までもが虐げられてしまい、少年に救いの手を差し出す者はいなかった。 それでも、昔からの親友で職学校に入った者や商学校に入った者たちは、虐げられる事なく少年と接していた。 ―――それが、あったが故に少年の心が冷えきる事は無かった。
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