第五章

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――一閃。 近付いたや否や、抜刀術よろしく振り抜いたその木刀は、けたたましい音を響かせ丸太へと打ち込まれていた。 「今のが、ただ単に…力任せに打ち込んだ一閃。」 木刀を、抜き身の刀の様に再度、納刀する。 そして―――。 「これが、瑞浪流刀闘術の基礎を体現した、打ち込み。」 ―――一閃。 先程と同じく、抜刀術よろしく振られた木刀。 けたたましい音は響かず、水菜の手にある木刀は完全に振り切られた。 刀を下ろすとほぼ同時に丸太は、見事横に真っ二つに切断された。 「―――。」 これ程までに驚いた事が嘗てあっただろうか、など考える。木刀が、丸太を真っ二つ。この世の理をひっくり返してみせた一閃に驚愕した。
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