序章

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少年の前にいた人達は計測を終えたのか、帰ってくる表情を見ると皆、終始笑みが絶えない。 今計測をし終えた者からは歓喜の雄叫びが聞こえる。 (標準より下で在りませんように…!) 少年は心の中で手を合せ、普段信仰―…いや存在すら認めていない神様に対して祈りを捧げる。 そして、少年の前に立っていた少女の名前が呼ばれ、いよいよ次は自分の順番。 少年の心臓の鼓動は最盛期を向かえ、緊張で唇が渇いたのか舌で舐める仕草を数回行う。 そして―――。 「次の人、どうぞーっ。」 若い看護士のような人の声により自分の番がついに来たと確信。 「は、はぃっ!!」 緊張で声が裏返り自分を呼んだ看護士に笑われるが、今は問題にならなかった。
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