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第一章
夢の始まり
『ヒロキー!!早く起きないと遅刻するわよー!!』
母親の声に慌てて目を開ける僕の前にはウチで飼ってる猫が腹の上にどっかと乗っかり寝息を立てている。
(また、お前か…それにしても変な夢だったな…夢にしては暑さも血の感触も妙にリアルだったし…あ~気持ちワリィ…)
『トラ、ちょっといつまで寝てるんだよ、起きるからどいてよ』
トラはニャーと声を上げてベッドから降りるとリビングへと降りて行った。
『おはよう』
『おはよう、いつまで寝てるの?今年はいよいよなんだからシッカリ頼むわよ』
『はいはい。まぁボチボチね』
『全くこの子は…』
『いいじゃん。今のままでもそれなりの大学には入れるんだから』
『何言ってるの!?ずっとトップ取ってる宇野君を見習いなさいよ』
『アイツはすごいよ。いくら毎年学年トップただ一人だけK大に推薦あるっていってもあそこまでガリ勉は出来ないよ』
『本当にこの子は…』
『朝からウルサいなぁ、もう行くよ、行ってきまーす』
『本当に頼むわよ。行ってらっしゃい、気をつけてね』
(あ~うるさいうるさい。
どうして親ってのはああまで子供に期待掛けるんだか。
まぁそれなりの成績残してりゃ満足するんだから単純て言やぁ単純なんだけどね。)
家から電車で30分掛かるが県内では有数の進学校に通う僕はいつも学年では10位以内には入っているしそれなりに勉強も出来る方だ。
本当は中学の時にやっていたバスケットを続けたかったのだが進学校でスポーツ部はどれもとりたてて活躍もなく寂しいモノだし何よりあの母親が部活を許してくれる筈がなかった。
…それに忘れたい出来事もあったし…
通学の電車の息苦しさに今日見た夢の事を思い出した。
(それにしても気持ち悪い夢だったよな。まぁ腹を圧迫したら怖い夢見るって言うしトラが腹の上乗っかってたからそのせいだろうな…)
あまりのリアルさに気持ち悪かったけどまさか刺されるなんて事は現実には有り得る訳もなく電車を降りる頃には気にならなくなっていた。ただリアルすぎた内容に気持ち悪さだけは消える事はなかったけど。
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