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「藤崎、俺が大学受かったら、俺と結婚なんてどう?」
は?
私は神崎の言葉に口をぽかんっと開けてしまった。
なんだか…とてもからかわれているような…。
「男には子供生めないからな」
神崎はそう言葉を続けた。
ゲイ神崎。神崎の恋人は男。
私を子供を産むだけの道具にするっていうことっ?
それは嫌だっ。
「結婚なんてしないっ。なにそれ?からかいすぎだよ。プロポーズかと思って、ちょっとドキッてした私を返せ」
「プロポーズだけど?」
神崎は言ってくれる。
なんかムカつくっ。
それは違うっ。プロポーズなんかじゃあないっ。
「もういいっ。寝るっ。おやすみ」
私は頬を膨らませて、神崎のいる部屋を出た。
本気、プロポーズなら、悩んでみたかったかも知れない。
神崎は男が好きなんだ。きっと。
バイセクシャルって聞いたけど、女を好きになることなんてないんだ。
手近に仲良くしている私をとりあえず結婚相手にして、本当は男の恋人が……っていう光景が見えた気がした。
でも神崎の家は大きい。
セレブ気取りたいだけの女の子なら、結婚したい女の子はいっぱいいそうだ。
私は絶対に嫌だけど。
でもあの美形の血が途絶えてしまうのは、少しもったいなくも感じる。
本当に心から好きだと…、倉橋とつきあった頃みたいに、一生懸命好きになれる人がほしい。
けれど…、私の心は立ち止まったまま。
誰かを好きになるとか考えることもできないまま。
友達……のはずの葉山と神崎に甘えている。
よくないことなのだろうと思う。
やっぱり彼氏をつくらなければいけない。
葉山と神崎がいればいいだなんて、たぶん言ってはいけないことなのだ。
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