ココロ

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私を壊して。 二度と元に戻らないくらいに。 気がついた気持ちに、私は吐き気がする。 特別でいたかった。 ずっとずっと特別でいたかった。 必要とされていると思っていたかった。 嘘でもいいから…、私を好きでいてくれていると思っていたかった。 私だけを。 自分勝手な感情。 吐き気がする。 私なんていらない。 私は屋上の冷たいコンクリートの上に座り込み、呆けていた。 目を閉じると頭がクラクラしてくる。 馬鹿な私。 頭も冷えて、感情もなんとか落ち着いて、私は家へと帰る。 また心配させてしまいそうで。 優しい二人は、ただの友達の私でさえ、心配してしまうのだろう。 それは特別なんかじゃないし、永遠に続くものでもない。 「ただいま」 私は自分の家の玄関を入ると、そう声をかけた。 あの子の靴はなくなっていた。 葉山の靴もなかった。 神崎の靴があった。 リビングへいくと、神崎が食事を作ってくれていた。 「おかえり。藤崎。ショウヘイに会わなかった?」 「会ってないよ。神崎、今日、きれいな人と歩いていた?」 私はコートを脱ぎながら聞いてみた。 彼女?とは、なんとなく聞けなかった。 「見ていたなら声かけてくれればいいのに。藤崎みたいないい人だよ」 神崎が答えるその言葉を背中で聞いていた。 「よかったね」 私はそうできるだけ明るく背中を向けたまま言って、テレビをつけた。 「ショウヘイのこと、叱っておいたから」 「ん?何が?」 「……ここは藤崎の家だから、女連れてくるなって」 「そう。ありがとう」 私はソファーへと座り、テレビを見ながら答えていた。 「藤崎」 「ん?」 「こっち見ないの?」 「テレビ見てるから」 「泣いてる?」 聞かれると、また泣きそうになった。 私は自分の感情を抑えて神崎を振り返る。 「泣いてないよ。ほら」 私は神崎に笑顔を見せた。 「……笑顔で泣くの?」 「泣いてないってば。ほら、涙出てない。神崎、目、悪いから」 「泣けばいいのに。また泣かせようか?壊そうか?」 「泣けばいいなんてひどいな、神崎」 がんばって笑って平気なふりをしているのに。 隠した感情、表に引っ張り出そうとする。 今は、この感情を隠す壁は壊しちゃダメ。
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