男友達

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脆く弱い私の心は、頼る人を求める。 近くにいちゃダメだよって、頼ってしまうよって、葉山と神崎に言ったところで、それは受け入れてもらえず、そんな私を受け止めてくれるのだろう。 好きだと思う。 二人を。 恋愛感情にしてしまうにはつらいから、友達として。 なんでつらいの?って聞かれると、二人を好きだから。 一度に二人なんて…いけないことでしょ? 二兎を追う者は一兎をも得ず…だったかな? 得てはいけないとも思う。 大切な友達として。 年末年始は実家へ帰らせていただきますと神崎が自分の家へと帰り、私の両親も家へとくるので、葉山も自分の家へと帰った。 この年末年始に私が両親に告げられたのは、両親が九州に永住を決めてしまったこと。 このマンションは売り払うから、私に一人暮らしの家を見つけろとのことだ。 勝手な親だなぁとは思うけど、私はこの地元を離れたくはないし、せっかく決まっている短大へいくことを諦めたくもない。 渋々と了承して、親が九州へ帰るのを見送って、さて、何から始めようかと思い悩む。 まず、神崎と葉山はそのまま家に帰りなさいって言うべきだろう。 一人暮らしをする家はワンルームがいいかな。 両親を見送った駅からの帰り道、賃貸のお店の前の広告を見てみたり、空き部屋ありの看板が出ているワンルームマンションを眺める。 葉山と神崎と今度こそ離れることになるのだろう。 それを淋しく思わないわけではないけれど、新しい気持ちになれるような気がして、それでいいんじゃないかと思う。 冬休み最後の日に、葉山は私の家に戻ってきた。 「おかえり。彼女との冬休みは楽しかったかな?」 私は冷やかすように、そう葉山に声をかけてやった。 葉山は頬を少し膨らませて私を見る。 「そういうの聞くなよ。イチコに男ができたら話してやる。あ。ガッキーみたいなのはダメだからな?」 「大垣、悪い奴じゃなかったってば」 「別れた後に変な貼紙されたの覚えてないのか?イチコ、男見る目ない?オレが探してきてやろうか?」 「いらない」 葉山の世話になんかなってやるか。 って、世話かけまくりのような気がしないでもないけど。 「あっ。来月にはこのマンション、出ていってね?」 私は半ば忘れかけていたことを思い出したように言った。
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