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好きな人と一緒に暮らせることがうれしいの。
なんて、言ってられるか。
望めもしない好きな人と一緒に暮らすなんて、悪夢だと思うよ?
卒業式も滞りなく終わり、無事に私は高校を卒業する。
恵美と香織とも離れてしまうし、やっぱり淋しかったりもするけど、やっと卒業したぁっていう気分もある。
でもちょっと、まだ、晴々とした卒業気分にはなれない。
その理由はもちろん、あの囲まれている男たちにある。
葉山は下級生及び、同級生に一緒に写真を撮ってと男からも女からも言われて、かなりの人気者である。
一方、神崎はというと、卒業してしまうのだからと、どんなに神崎が冷たくあしらっても、泣きながら写真をと望む女の子たちに囲まれている。
……モテるねぇ。相変わらず。
なんであんなのと一緒に住むの?私。
嫌だよ。もう嫌なんだよ。
甘えてしまう自分を感じるのも嫌だけど、それ以上にあの二人に甘えてしまうのが嫌っ!!
好きな人、他につくろうって思っても、あんなのそばにいたら、こっちのほうがいいなぁって思ってしまうじゃないか。
それで、甘えたら受け止めてくれるし、頼ったら受け止めてくれるしっ。
贅沢だって言われても、新しいスタートがほしい。
……嫌だって思っても、やっぱり…、私は二人がいなくなると淋しくて泣いてしまうのだろう。
泣いて泣いて泣き止んで、恋しく思ってまた二人に会いたいなんて思うのだろう。
どうしても会えない状況にならない限り、私は他に好きな人なんてつくれないだろう。
どうしても会えない状況になっても、私はがんばって二人に会おうとしてしまうかもしれない。
悪夢だと思う。
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