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「オト、今も昔もこれからも、愛するのはお前1人だけだ。
私の生涯の伴侶に、なってくれるか・・・?」
包み込むような優しい笑みを向けるジオラルドに、麻都は涙を流しながら何度も頷き、その広く温かい胸の中に飛び込んだ。
「私、も愛してます、ジオ様・・・・傍に、いさせてください・・・・」
ぽろぽろと泣く麻都を抱き締め、ジオラルドは幸せそうに微笑んだ。
「ああ、ずっと一緒だ」
すっと麻都の細い顎に手を当ててジオラルドは優しく上向かせた。
そして次々と雫が流れる頬に、目尻に、瞼に口づけを落とし。
最後に愛らしい唇にゆっくりと自分のものを重ね、顔を離した。
「・・・どうしてそんな不思議そうな表情をするんだ」
目を開いてぱちぱちと瞬きをする麻都にジオラルドは期待していたのとは違う反応に苦笑を漏らした。
「え、あっすみません・・・その、今のジオ様の行動の意味が分からなくて・・・・」
「・・・・・本当か?」
「?はい・・・」
今まで他人との接触のなかった麻都には、恋愛のことなどまるで分からないのだ。
「今のはキス・・・口づけといってな。相手に愛情を表す時にすることだ」
「そうなんですか・・・すみません、私全然何も知らなくて・・・こっちの世界のこともまだ・・・・」
落ち込んだように項垂れる麻都に、ジオラルドは笑いかけた。
「知らないならこれから知ればいい。私がすべて教えてやる。この世界のことも、恋人同士のことも」
だからそう気にするな、と麻都の頭を優しく撫でる。
麻都は嬉しそうに笑ってジオラルドを見上げる。
「はい、頑張って覚えます・・・!」
「じゃあまずはキスの時は目を閉じることから覚えてもらおうか」
そう言って金の瞳を瞼の裏に隠して顔を近づけてくるジオラルド。
麻都は頷きしながら口元を綻ばせ、そっと瞼を下ろした。
∽第11楽章終了∽
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