第2楽章 偽りの罪人は死を望む

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「さっさとやつらの居所を吐いた方が身のためだぞ?」 軍服の男が怯える村人たちに笑う。 「―――――わしらは本当に知らないのだがのぅ」 声とともに村人たちの中から腰の曲がった白髪の老親が出てくる。 老人の手にはしがみつくように小さな女の子が。 「老人、そんな言い訳を我々が信じると思うのか?」 「信じるも何も本当のことだから仕方ないわい」 村人たちも兵士たちも誰も声を漏らさず、緊張感が漂う。 「ほんとうにリスカたちしらないもん!かえって!!」 老人の手にしがみついていた女の子が高い声をあげて涙目で男や兵士たちを睨む。 「なんだとこのガキ・・・!」 言い方が気に食わなかったのか兵士の1人が女の子を掴もうと手をのばす。
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