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「おいてめぇ軍人なら軍人らしく自分で戦えよ。それとも自分の腕に自信がねぇのか腰抜け」
「なんだとっ!・・・いやわざわざこの私が手を出す必要などないのだ。・・・・あいつは殺してしまえ」
アディンの挑発に顔を赤くした男だが、肩に乗る蛇が視界をかすめるとすぐに平常心を取り戻し、怪しい笑みを浮かべて蛇に命令を下した。
蛇が男から視線を外すとまたも枝や根がアディンを襲ったが先ほどまでと違い先端は尖り、スピードも格段に上がっている。
アディンは襲ってくるそれらを軽いステップでかわし剣で切っていく。
麻都はルカに守られながらそんなアディンたちを見て違和感を感じていた。
男と蛇のやり取りだ。
契約した精霊ならば意思疎通を図るためにも話すものではないだろうか。
しかし蛇は今まで一言も喋らず、しかも男の命令を聞く態度もおかしい。
まるでしぶしぶきいているといった感じで、アディンとルカのような信頼関係がみえない。
麻都の視線に気づいたのか蛇がこちらを向き目が、合った。
長い前髪や眼鏡で見えないはずなのに、確かに琥珀色の鋭い目と合ったのだ。
―――――タスケテ
麻都には蛇が助けを求めている。そう感じたのだった。
しかしルカを見ているかぎり精霊が人間に縛れるものだとは思えなかった。
あの男はどうやってあの蛇を捕らえているのだろうか?
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