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『そんな・・・制限なしにそんな物を作れる者がいるなんて・・・』
ルカの顔は青ざめている。
アディンは身を屈め凍っているそれを摘まんで持ちあげ、まじまじと見た。
「なんだこれ。こんなん初めてみたぞ。この尖った方で体に刺すって感じか?
あいつもよくこんな小せーもんに気づいたな」
指先で突きながら笑うとアディンはそれを自分のズボンのポケットに突っ込んだ。
『?どうかしましたか??』
あらぬ方向をじっと見ている青年に気づいたルカが声をかける。
『・・・このまま放っておいていいのか』
青年が見つめる先は、麻都がこっそりと混乱している間に逃げた方向だった。
『ならばもし良かったら追っていただけませんか?私はアディンから離れるわけにはいきませんし、他の者はまだ気づいていない者がほとんどでしょうし・・・』
『分かった、引き受けよう』
青年が1つ頷くとその姿は揺らぎ、すぐにあの蛇がその場に現れた。
アディンとルカを見て蛇は1度頭を下げると麻都が走って行った方向に体をくねらせながら早い速度で向かっていきすぐに姿が見えなくなった。
「じゃあ俺らは船に戻るか。報告しなきゃいけねぇことも増えちまったし早く待ち合わせの場所に向かうぞ」
『はい』
∽第2楽章終了∽
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