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痛い。
痛くて、苦しい。
「お前のせいでっ・・・お前のせいで沙良は・・・!」
床に倒れたまだ幼い少女。
その力を入れればすぐに折れてしまいそうな細い腕や足、皮だけの腹を男は蹴りつけていく。
長時間の暴力に少女の体は男が与える攻撃に動くだけでぐったりとしていた。
僅かに開かれた口からは何度も同じ言葉が呟かれる。
「ごめ・・・ごめっなさ・・・ごめっなさぃ・・・・」
ごめんなさい。ごめんなさい。
私のせいで。
私が生きているせいで。
少女の声が耳に入ったのか男は怒りの表情をさらにうかべ、少女の髪をわし掴んで顔を上げさせた。
「黙れ、喋るな!お前のせいで・・・っお前に声など必要ない・・・っ!!」
男は少女の掴んだままだった髪を引っ張り、強く頭を壁にぶつけた。
鈍い音と共に少女の視界が真っ白になり、すぐに暗転して真っ黒に染まった。
何も見えない、漆黒の闇に。
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