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「オト、おはよう!」
「おはよ!」
まだ10歳にもならない子供達が天幕から出てきた麻都に走りよる。
返事の変わりに麻都は子供達に頭を下げる。
傍まできた子供の1人が顔を見上げて首を傾げた。
「オトどうしたの?おかおあおいよ?」
長い前髪や分厚い眼鏡で顔を隠していても近くでそれも子供の下からの視線からはよく分かったのだ。
オトはその子供の撫でただけでその場を離れていった。
「オトどうしたのかなぁ?」
「うん、かおいろわるかったよねぇ?」
うーん、と首を皆で傾げる子供達。
「こらぁ、お前ら!さっさと準備しろ!!」
大きな箱を肩に担いだ男が天幕の影から現れ子供達を叱った。
「あ!わすれてた!」
「ごめんなさーい!」
走ってその場を散っていった子供達はすぐに先ほどの疑問を頭の片隅に追いやってしまっていた。
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