第3楽章 因果の鍵の名は

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そんな馬達の行動に唖然とした男は麻都が天幕の中に消えるのを突っ立って見ていた。 そして麻都の姿が見えなくなったと共に天幕と天幕の間を抜けて兵士達が現れた。 麻都にもそのことが分かり、天幕の中で強く目を閉じて耳も塞ぎ、ガクガクと震えながら身を縮めて時が過ぎるのを待った。 ああ、折角アディンさんとルカさんが助けてくれたのに・・・ 「おい嬢ちゃん、大丈夫か?」 「!?」 声と一緒に肩に置かれた手の感触に驚いた麻都は大きく体を震わせて顔を上げた。 あの天幕の外で会った男が天幕に入ってきていたのだ。 男の姿が目に入った瞬間麻都の顔は絶望に。 捕まる、その言葉が頭の中を駆け巡るだけで逃げる方法なども出ず。 体の震えが止まらない。
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