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「安心しな。軍に突き出す気はねぇ」
・・・え?
困惑な表情を向ける麻都に男は苦笑を返した。
「俺は兵士達の言う言葉を信じるような素直な人間じゃないんでなぁ。とにかく詳しい話を聞かせてもらえるか?」
いきなりのことに戸惑いながらもおずおずと頷く麻都。
男は笑うと麻都に手を差し伸べた。
けれどその意味が分からなかった麻都は首を僅かに傾げる。
「何やってんだよ。立ち上がるの手伝おうとしてんだから手を出せ手を」
ほら、と促す男に麻都は恐る恐る手を持ち上げ男に向かって手を伸ばす。
震える手を男はしっかりとその大きな手で握り、力強く引っ張って軽々と麻都の体を立たせた。
「お前ずいぶんと軽いなぁ~もっとしっかりと飯食わねぇと成長しねぇぞ?」
俺なんかしっかりと食ってたからこんな体になったんだからな!と男は笑った。
「団長ー!」
天幕の外で誰かを呼ぶ声。
男は麻都の手を掴んだまま天幕から出ていき、それにより自然と麻都も天幕から出た。
「団長ぉ!なんでさっき兵士がこんなとこまで来てたんですか!?」
明かりのない暗い天幕の中から光の元に出て視界が真っ白になり何も見えなかったが、すぐに視力が戻り麻都よりも年下らしき少年が男に話しかけるのが見えた。
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