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皆や公演の手伝いにも慣れ、文字もようやく日常的に使えるようになった頃に団長と呼ばれていたあの体格の大きな男、ロギアは麻都に兵士に追われる事情などを聞いたきた。
拾ってくれた御恩を感じていたので正直にこちらの世界に来たことからすべて話した麻都。
理解しているかどうかは分からなかったが、麻都の話を聞いたあとロギアは1つだけ聞いた。
「お前はこの先どうするか決めているのか?」
麻都は戸惑った。
逃げる先など考えていなかったから。
逃げる先・・・。
そう考えて浮かんできた人物は一人だった。
団員の人たちに貰った、表が劇団の宣伝広告の紙で作ったメモ帳に麻都はゆっくりと文字をつづった。
――――――会いたい人が、いるんです。
私をこっちに連れてきてくれた、あの美しい人。
あの人にもう一度会いたい。
会って、こっちに私を連れて来た理由を聞きたい。
そしてもし私を必要としてくれるなら、あの人のそばにいたい・・・・。
そう想うようになった日から考えるのは、あの人のことばかり。
今どこにいるのかな。
風邪とかひいてないかな。
あのライオンは元気かな。
・・・この同じ青い空の下にいるのかな。
そう想って空を見上げてきた。
――――――昨日までは。
お前のせいでっ・・・お前のせいで沙良は・・・!
忘れていた。
自分は生きていてはいけない人間なのだということを。
アディン達や団長、団員達の温かさに甘えてしまっていた。
私は罰を受けなければ・・・・
でももしできるなら。
一目だけでもあの人の姿が見たい。
私なんかがそう思うこと事態、罪ですか?
神様――――・・・
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