第3楽章 因果の鍵の名は

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必死な様子のロギアをしばらく黙って見ていたマノリアは、小さく笑いだした。 「あんたそれじゃあまるで麻都の父親みたいじゃないの」 「何言ってんだ。この劇団全員が俺の子供だ。 お前だってさっき母親のように麻都を見ていたじゃねーか」 「あらそう?・・・そうね。皆私達の大切な子供だものね」 ロギアとマノリアには子供がいない。 それは2人が欲しいと思ったことがないからだ。 ホールディア劇団は昔から旅をしながら孤児の子供を拾っている。 それはこの2人も同様で、先代の団長に拾われてからずっとこの劇団にいるのだ。 「親が子供の幸せを願うのは当たり前だろ」 ふん、とロギアは鼻を鳴らして視線を向けた。 マノリアもそれにならう。 馬にもたれかかって座っているその後姿を2人はただ黙って見ていた。
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